三学院稲荷社 柿葺き屋根葺き替え工事<その2>

2005年葺き替え

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大棟の野地を作る前に棟の下にアスファルトルーフィング先を予め入れておく。棟の端の角には銅板の捨て板も入れておく。雨押さえの垂木となるコマを束に固定し、正面板を取り付ける。
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コマ垂木に野地板を張る。屋根の野地全体が反っているので雨押さも全体にその反りとなる。束に墨をしてカットする。(中央部に行くにつれ僅かに下がる)
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棟全体に5.5ミリベニヤを張り、下に巾木を取り付ける。(巾木上面には水が留まらないように僅かに勾配を付けてある)

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棟の屋根板を取り付ける。
(横から見ると大棟全体が反っているのがわかるはず)

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柿葺き箕甲の凸凹をサンダーで均した後、屋根面平ら部分全体にアスファルトルーフィングを張る。
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軒付けと駒額と柿葺き箕甲との間に空間があるので、5.5ミリベニヤを等高線のようにボンドを付けて木ねじで取り付ける。
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駒額が仕上がり位置なので、それより僅かに出っ張らせる。棟に近づくにつれ空間が少なくなり、最後はゼロになる。
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前面左側、空間埋めが終わった状態。
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等高線状態のベニヤをサンダーで滑らかに均す。

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#071と同じ所を見下ろす。箕甲全体が滑らかに修正された。通常の箕甲は任意の間隔に櫛型を作り、縦に5分角材を打ち付けた後に鉋で削って作るが、この工事の場合は柿葺きの箕甲を残したまま銅板野地を作るので、このような方法を採った。
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箕甲は甲境と軒付け部分では巾が広がって来るのでルーフィングを細かく張る。銅板軒付けの「出」の先まで掛かるように、5分出しておく。
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#056の鬼板原寸図に合わせてきりだした無垢材を、木彫する前に屋根勾配に合わせる。(細かい彫刻の為、合わせてから彫る)既存の鳥衾の欠き込みに、鬼板の厚みと高さを合わせてある。
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東側の鬼板と鳥衾。右が裏面で左が前面である。

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正面軒付けは全体に反り上がるが、角から弓形に箕甲が始まるので箕甲に入った4段目は2段目と逆ハゼになる。前面・裏面とも銅板1枚の巾は同じ、葺き足(上下の巾)も同じ。
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予め取っておいた軒付けの半透明フィルムに縦ハゼの位置を印し、3段に割って番付し、1枚毎に切る。

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#031/#032で空けた隙間に銅板の下端を差し込んで行く。(これが出来るかどうかがこの工事の最大の課題だった!!)
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前面正面軒付けを3段葺いた状態。軒付け全体が緩やかに反り上がっている。(これくらい反らしてやっと下から見て平らに見える。既存は逆に中央部が持ち上がっていた)
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前面左、登り軒付けを取り付けた段階。アスファルトルーフィングが銅板軒付けの先端まで入っている。

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複数段の軒付けの場合、横ハゼの隙間分だけ出っ張るので木の下地を抉り取ったり上部に薄い板を張ったりするが、この様に角を3段並行させて張って行けば中央部が膨らんで見えない。(目の錯覚利用)
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裏面の箕甲を取り付けている所。
大きな建物では箕甲を残して平部だけ先に葺いてしまうが、小さな建物では一段一段箕甲もいっしょに仕上げてしまう。
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裏面左右、雨押さえ下の段まで葺きあがった状態。
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前面も同じように葺いていく。屋根の上の木は足場。
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前面・裏面同じ所まで葺きあがった所。
捨て板の位置が良くわかる。
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大棟には結露で野地が腐食するのを防ぐ為、薄いルーフィングを入れてある。鬼板を取り付けた裏面を下に延ばした位置にハゼを作る。
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最後の箕甲2段に横ハゼを作り、それに噛ませて駒額を張る。同時に大棟の端(鬼板を取り付ける部分)を銅板で包んでおく。
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木彫した鬼板を葺かれた銅板の上に乗せ、当たりを取る。
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屋根最上段は全部繋ぎ、そのまま雨押えまで一体で立ち上げる。正面に釘を打てないので、縦ハゼの外側に引っ掛け釣り子と雨押えに巻き込み釣り子を予め止めておく。
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加工した最上段の縦ハゼの中に引っ掛け釣り子を斜めに入れて曲げ、前に出て来ないようにし、巻き込み釣り子をハゼに巻き込み、上に上がらないようにする。
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立ち上がり角と縦ハゼの上部を半田付けしておく。
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通常、鬼板は正面からコーチボルトで固定し、穴を塞いで紋を付ける。しかし今回は紋を付けないので、駒額と鬼板が接触する部分に半田付けして下の位置を決め、鬼板に当て板とをしてジャッキで押しつけてた。
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銅屋根完成。
箕甲の中の縦ハゼは、施工上の重要な意味と美観上の意味がある。
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平らな2次元の銅板を3次元曲面の下地に合わせて葺くという困難な課題は、縦ハゼを水の流れる方向に入れる事によってクリアされる。植物素材の屋根が重ねるだけで雨が漏らないのは、水の流れを見極め、その線に沿って重ねるから水が切れる為である。銅板の縦ハゼと横ハゼの緩やかな曲線もそれを模したものである。
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西側の鬼板と鳥衾。右が前面で左が裏面である。


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古い建物の修理の場合、棟が傾いていたりするので鳥衾と雁振の線が綺麗に通り鬼板の中心に引っ掛けるのは難しい。銅板屋が野地を作ると、見せ所のポイント中心に下地を作れるので時間は掛かるが仕上がりは綺麗である。
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東側前面の箕甲を見下ろした所。

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南西側完成図。雨粒よりも横ハゼの浮き高さが大きいので水が速やかに切れる。
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南側完成図。鬼板が同じ転びになっているかが見せ所。
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東側完成図。
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北東側完成図。裏側も箕甲が同じ巾で反り上げたのが分かる。
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