和楽備神社 稲荷社 銅屋根葺き替え工事

2002年葺き替え 翌年木部塗り替え

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左が改修前、右が改修後。
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銅板屋根葺き替え後に木部も塗り替えた
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飾り金具は外し再び金箔をした。
屋根は葺き替え中に、木部は塗り替え後取り付け。
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軒付けが1段で折り下げになっていないので、雨水が軒付けに伝わっている。
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いわゆる昔の銅板葺きであるが、よく出来ているので破綻がない。
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鬼板の下に台を付けるのが昔のやり方だった。
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大棟詳細。棟の中に額縁を付けてある。
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鳥衾は細かく葺いて反りを出している。
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台に描かれた文様はいたずらではなく、
稲荷紋である。
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銅板を剥がすと、アスファルトルーフィングやフェルトは敷いておらず野地板に防腐剤のコールタール?が塗ってあったようで、腐食は全く無い。
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驚く事に箕甲の始まり(甲境)が弓なりに反っており、さらに箕甲は1枚板を削り出したものであった。
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裏面の、棟から1尺くらい下の野地板の隙間をみると何と!棟札を発見!!
取り出せるように野地板を垂木2本分切ってみた。
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棟札の表面。昭和13年に銅屋根に葺き替えた事が分かる。「御造営後、約百年」というのは古すぎるとしても、幕末か明治初期までは下ると思われる。


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工事を担当した職人の名前のうち「銅工 金子定次郎」とは、蕨駅前通の金子金物店の先々代で、当時は板金業を営んでいた。屋号は「銅定」である。大熊板金の現会長(父)の親方であったが、父はまだ修行中だったのでこの工事には参加できなかったとの事である。さらに注目したいのが「木挽」という職種が書かれてあり、その木挽職が箕甲を1枚板で削りだしたと推測される。
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西側、駒額を取り付けた所。


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棟札を取り出した穴からカメラを突き出し、小屋裏を撮ってみる。野垂木が二重になっているのが良く分かる。
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棟の雨押さえを持ち上げて、アスファルトルーフィングを差し込んでおく。
棟の端には銅板の捨て板も予め入れておく。
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雨押さえが棟の高さに比べて小さいので前に角材を抱かせその上に5分板を張り、上部はゼロに削って勾配を緩やかにした。

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前面、右側。銅板を剥がした軒付け。登りの軒付けに水が廻った跡が明らかである。下端の野地が腐食して落下し(銅板も無かった)、ここから鳥が侵入したらしい。
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流れ造りの向拝側の一番下は、勾配が極端に緩くなるので水が廻りやすい。その跡がクッキリ残っている。

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右側軒付けの腐食部を撤去する。


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下端を差し込む為の隙間となる3ミリベニヤを、裏甲から5分奥の位置に入れる。

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前面、左側。右に比べて腐食部分は小さいが、同じように3ミリベニヤを入れる。

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正面軒付けに新規材を張り付ける。左右に増しを付け、全体に反り上げる。

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新規に木の下端を取り付けた後その暴れを直すためにその上に小割を抱かせ、同じように上側にも小割を抱かせて箕甲からコーススレッドで固定する。中程に束を入れて自然な曲線にする。
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左側も同じように下地を作る。木の下端が扇上になっているのが分かると思う。

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型を取り、切り出して最終的な銅板軒付け野地を取り付ける。既存の野地より増しを増やして反り上げているので、全体に緊張感のある軒付けになった。(正面・登りともこれだけ増しておかないと、「勢い」が無くなる)
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左側野地完成状態。

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銅板は薄い(この工事には0.3ミリ銅板使用)ので、野地の凸凹がそのまま出てしまう。そこで出っ張り部分をサンダーで削る。白い斜線部分は逆に凹んでいる部分。
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平部分の野地板は経年変化により縮んで継ぎ目に3分ほどの隙間が出来ていたので全体に埋木をする。(ちょうどこの隙間に銅板の釣り子が来るとまずいので)

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旧棟札と今回の葺き替え工事の棟札の表面。
3年前に葺き替えた隣の天神社も併記されている。

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旧棟札と今回の葺き替え工事の棟札の裏面。

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新旧の棟札を並べて小屋裏に取り付ける。

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野地の凹んでいる部分にアスファルトルーフィング(厚みが1ミリある)を何枚も重ねてパテ代わりにする。
(重ねたルーフィングは熱で一体化する)
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アスファルトルーフィングを張る。箕甲部分は距離が伸びるので適度な位置に切れ
目をいれ、別のルーフィングを差し込む。
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箕甲の落ち込みが深い部分は平部分と軒付け部分との差が大きいので、ルーフィングを細かく張り、平部分をその上に重ねる。
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前面、アスファルトルーフィング張り終わった状態。

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加工してきた正面軒付けを取り付ける。全体に反り上げてあるが、これでも下から見ると真っ直ぐに見えてしまう。つまり真っ直ぐだと端が垂れて見えるという事。
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前面、左側軒付け。ルーフィングが5分出た軒付けの先までのばしてあり、さらに垂直に下げてある(折り下げ軒付け)ので水がここで切れ、軒付けに伝わらない。
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ルーフィング上に出来上がりの線を全て石筆で描いておき、その通り銅板を葺く。箕甲部分は何度も下に降りて、実際に下から見る位置でおかしくないか修正する。
前面・裏面とも葺き足(銅板の上下寸法)を同じくすると自動的に段数が決まってくる。端数は1段目で取ってしまう。建物によっては1段目が広くなったり狭くな
ったり、かすがい(左右に振り分ける真ん中の1枚)がずれてしまう場合もあるが前面はかすがいが中心に来るように割り付けする。
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縦ハゼを入れる位置を下から見て、最も綺麗に見える位置に割り付ける。駒額に近づけるにつれて傾けてあるのは、これが水の流れる方向であり、流れ方向の横ハゼを直角に近づければ水が切れ易いという理由からで、この薙刀状に反り上げるのはハゼを組めずに重ねるだけの柿葺き・檜皮葺きの線を模したものである。
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このような小さな堂宇は、平部も箕甲も同時に吹き上げて行く。

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銅屋根完成。中央部の3本の銅板の色が変わっていない所は、屋根上の足場があっ所。一雨降ればすぐに同じになってしまう。

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大棟詳細。棟の中と鬼板の額の中の稲荷紋は金箔を押し直して取り付けた。葺き替え前の緑青が吹いた紋がこのように綺麗になるのは、緑青が腐食ではなく表面を覆う保護被膜であるという傍証である。
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葺き替えの場合、鳥衾を鬼板の中心に取り付ける事は、棟が倒れていたりするので意外と難しい。
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鳥衾は正面から見るとほとんど同じ太さに見えるが、かなり増しを付けてある。上から見ると巾もこれだけ先に行って太くなっているのである。

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棟の端と鬼板の接合面が見せ所で、この場合は返し(棟の端に5分だけ直角に曲げて鬼板との隙間を調節する)は付けず、何度も平滑な板を当ててピッタリ付くよう
に細心の注意をした。
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葺き替え前の前面の銅板は15段、葺き替え後は22段である。箕甲の丸みが大きいほど銅板の葺き足を小さくしなければ葺けない。
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